商品ページの生成AIは、ページ単位ではなく工程単位で線を引く。初稿をAIに任せてよいのは商品説明文・FAQ・画像のalt。人が最終確定するのは商品名とキャッチコピー。AIに生成させてはいけないのは、サイズ・素材・成分など商品マスタに正解がある事実そのものである。
- 単位は「ページ」ではなく「工程」。商品ページを8工程に割ると、任せる/確定する/触らせない の3種に必ず分かれる
- 危ないのは文章の下手さではなく、事実の捏造。AIは商品マスタを見ていないので、数値・素材・効能を自然な文体で埋めてしまう
- 判定基準はひとつ。「その項目に正解の台帳があるか」。あるなら生成させず、参照させる
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「商品ページ、AIで作れないか」という話は、たいてい最初の1商品でうまくいく。文章はきれいだし、そこそこ長い。問題が出るのは、それを20商品、100商品と広げたあとだ。返品の理由欄に「記載と違う」と書かれる。問い合わせで「この機能は付いていないのですか」と聞かれる。レビューに「サイズが説明と合わない」と残る。そのどれもが、文章の出来ではなく、文章の中に混じった値の問題として起きる。
この記事では、商品ページを8つの工程に割り、工程ごとに「AIに任せる/人が最終確定する/AIに生成させない」の3つへ振り分ける。振り分けの基準はひとつしか使わない。その工程に正解の台帳があるかどうかだけである。
「商品ページをAIに作らせる」で事故るのは、単位が大きすぎるから
まず、商品ページは1つの文章ではない。入力欄の集合体である。
Shopifyの商品詳細ページを開くと、タイトル、説明、メディア、カテゴリー、価格、割引前価格、税コード、単価、アイテムあたりの費用、SKU、バーコード、重量、パッケージ、原産国・地域、HSコード、バリエーション、購入オプション、メタフィールド、商品タイプ、販売元、コレクション、タグ、テーマテンプレートが並ぶ。在庫まわりだけでも「販売不可」「コミット済み」「販売可能」「手持ち在庫」「入荷予定」と別々の値が置かれている(Shopifyヘルプセンター「商品詳細ページ」/2026年8月8日確認)。Amazonなら、商品名、商品のハイライト、商品説明、商品仕様、検索キーワード、商品画像、バリエーション、SKU、JAN・GTIN、ブランド、コンディション、価格、在庫数、配送方法といった具合になる。
ところが「この商品の魅力的な商品ページを作って」と投げたとき、指定されている単位はページ1枚である。20個以上の欄を、まとめて1つの仕事として渡している。
ここで効いてくるのが、生成AIの性質だ。生成AIは、渡された文脈の続きとして、もっともらしい語をつないでいく。空欄を埋めることが仕事になっているので、こちらが値を渡していない欄も、渡した欄と同じ調子で埋まる。原産国を伝えていなくても原産国が書かれ、耐荷重を伝えていなくても耐荷重が書かれる。しかも、埋まった文章は、こちらが値を渡した部分と見た目が変わらない。「ここは自信がありません」と書いてくれるわけではない。だから、読み返しても文章の出来では判定できない。
この性質は、プラットフォーム側も自分で書いている。makeshopの公式サポート記事「生成AIの基本とハルシネーション対策」(2025年10月30日公開/2026年8月8日確認)は、AIが確率的に文章を組み立てる以上、曖昧な指示では「もっともらしい誤情報」が生成されるとしたうえで、事故の例として商品説明での素材やサイズの誤記を挙げ、その帰結を「返品・信頼低下」と書いている。同じ記事はFAQでの存在しない機能案内も挙げ、こちらは「クレーム増加」としている。カートを売っている側が、自社の公式サポートで名指ししているレベルの話である。
事故は、記事の中では「誤情報」という一語で片づく。実務では違う経路で戻ってくる。低評価レビュー、返品・交換、問い合わせの増加、そしてモール側からの指摘。どれも、修正して終わりにならない。レビューは消えないし、返品は送料と再検品が乗るし、問い合わせはCSの工数として毎日積む。
ここで責めるべき相手はAIではない。20個以上ある欄を、まとめて1つの指示で渡した、その渡し方のほうである。同じAIでも「この3つの値を一字も変えずに表にして」と頼めば、値は壊れない。単位を小さくすれば済む話を、ページ単位のまま投げたから壊れている。
商品ページを8つの工程に割る
では、どこまで小さくするか。実務で扱いやすいのは、次の8工程である。モールやカートによって欄の数はもっと多いが、性質でまとめるとこの8つに収まる。
| 工程 | 正解の在り処 | 分類 |
|---|---|---|
| ①商品名 | モール規約(一部は非公開) | B |
| ②キャッチコピー | どこにもない(規約の制約はある) | B |
| ③商品説明本文 | どこにもない(引用する事実は台帳) | A |
| ④スペック表・仕様値 | 商品マスタ/仕入先資料/現物 | C |
| ⑤FAQ | どこにもない(答えは台帳と規約) | A |
| ⑥画像のalt・キャプション | どこにもない(対象は現物) | A |
| ⑦カテゴリ・タグ | プラットフォームの分類体系 | C寄り |
| ⑧レビュー要約 | 実在するレビュー | C寄り |
①商品名は、自由記述に見えて、文字数・使用可能文字・禁止語がモール側で決まっている工程である。しかも規約は改定される。AIに初稿を出させるのは有効だが、確定は人がやる以外にない。
②キャッチコピーは、正解の台帳がないという意味では③に近い。ただし表示される場所によって文字数の制約を受けるため、確定は人に残る。Amazonが2026年に新設した「商品のハイライト」のように、新しい欄が増えることもある工程でもある。
③商品説明本文は、この8工程で最もAIに渡しやすい。ただし「渡しやすい」のは文体と構成のことで、本文中に出てくる寸法や素材は④の値をそのまま引いてくるべきものである。ここを混ぜると事故る。
④スペック表・仕様値は、AIに生成させてはいけない工程の代表である。サイズ、素材、混率、容量、重量、原産国、成分、型番。どれも「正解を持っている人・物」が社内か仕入先か手元にある。
⑤FAQは、質問の作り方はAIが得意で、答えの中身は台帳と自社の運用ルールにある。「何を聞かれるか」を出させて、「何と答えるか」は人が埋める、という分業になる。
⑥画像のalt・キャプションは、対象が画像=現物である以上、生成した文章が現物と一致しているかを人が見る必要がある。文章としての質はAIで足りる。
⑦カテゴリ・タグは自由記述に見えるが、多くのプラットフォームでは分類体系から選ぶ。Shopifyのヘルプでも「カテゴリー」は標準の商品分類から選ぶものとして説明されている。選択肢の外を書ける欄ではない。
⑧レビュー要約は、要約元が実在のレビューであるという意味で、台帳がある側に入る。要約させるなら、対象のレビュー本文を渡す。渡さずに書かせたものは要約ではない。
この8工程という割り方は、こちらの分析であって規格ではない。ただ、プラットフォーム側が実装しているAI機能の範囲を並べると、線の引かれ方が似ていることは確認できる。Shopifyは「Shopify Magic」で商品説明などの生成を提供しており、楽天は2024年4月30日のプレスリリースで「RMS AIアシスタント β版」として、商品名や商品画像、基礎商品情報などから商品説明文を作成・提案する機能を発表している(提供開始は2024年3月)。カラーミーショップは商品説明文・SEO設定(タイトル・ページ概要・キーワード)・SNS投稿文の3つを生成対象として挙げ、makeshopは商品編集画面に「AIで商品説明文を生成する」「AIでSEO Descriptionを生成する」というボタンを2023年7月に実装している。BASEも2023年4月に商品説明文の自動生成を提供開始したと公表している(いずれも各社公式ページ/2026年8月8日確認)。
並べて気づくのは、公式機能が用意されているのは説明文・SEO文言・SNS文といった「文章の欄」に集中していることだ。価格や在庫数やサイズを生成してくれる機能は、少なくとも公開情報の範囲では見当たらない。プラットフォーム側もすでに工程で線を引いている、と読める。
そして、カラーミーショップの機能ページには「AIが生成する文章には誤った情報が含まれる場合があるため、利用前に内容を必ずご確認ください」と明記されている。提供元が最初からそう書いている以上、確認工数は前提であって、削減対象ではない。
もうひとつ、欄の呼び名について。同じ工程でも名前は揃っていない。makeshopでは「商品説明」「商品追加説明」「description」と分かれ、カラーミーショップではmeta descriptionにあたる欄が「ページ概要」と呼ばれる。楽天のプレスリリースで確認できた語は「商品名」「商品画像」「基礎商品情報」「商品説明文」である。呼び名が違っても工程は同じなので、社内で線を引くときは自社の画面名で8工程に対応表を作っておくと早い。
なお、ここまでの前提として、④の台帳そのものが埋まっていない店舗は珍しくない。商品マスタの素材欄が空、原産国が旧仕入先のまま、在庫数がモール側と合っていない。この状態でAIに渡すと、AIは空欄を空欄として扱ってくれないので、真っ先に捏造が出る。台帳が壊れている店舗にとっての最優先はAIではなくマスタの整備で、受注と在庫の側から手をつける話は受注・在庫まわりの自動化で扱っている。
判定基準はひとつ:「その項目に、正解の台帳があるか」
8工程の表は覚えなくてよい。覚えるのは判定の手順だけでいい。新しい欄が増えても、モール固有の欄が出てきても、同じ手順で分類できる。
- 正解が社内・仕入先・現物のどこかにある → C(生成させない。参照させる)
- 台帳には無いが、外部の仕様に縛られる → B(AIは候補出しまで。人が確定)
- 文体・言い回しの問題でしかない → A(AIに初稿を書かせる)
言い換えると、こうなる。その欄を空欄のまま公開したとき、誰かに聞けば正解が返ってくるか。返ってくるならCである。聞く相手は商品マスタでも、仕入先の仕様書でも、検品担当でも、目の前の現物でもいい。相手がいる時点で、その値はAIが考えるものではない。
この基準がきれいに働くのは、迷わない項目ではなく、迷う項目のときだ。境界にある3つで試す。
境界事例1:スペック値の言い換え。マスタに「本体重量 2.3kg」とある商品で、説明文に「軽量」「片手で持てる」と書きたい。この場合、2.3kgという数値はCである。「軽量」という形容はAでよい。問題は「片手で持てる」で、これは現物を持てば真偽が判定できてしまうので、実質的には事実の主張になっている。判定はB——AIに書かせてよいが、人が現物を基準に残すか消すかを決める。境界の見分け方は「形容詞かどうか」ではなく、誰かがそれを確かめられるかどうかである。
境界事例2:素材の主観記述。マスタにあるのは「ポリエステル100%」だけで、説明文には「しっとりした肌ざわり」と書きたい。肌ざわりの表現はAである。ただし同じ流れで出てくる「乾きが早い」「毛玉になりにくい」は性能の主張で、根拠は検品記録や試験結果という別の台帳にある。つまり同じ1段落の中で、AとCが混ざる。工程がAでも、文の中の一部の語はCとして扱う必要がある、というのはこの意味である。
境界事例3:記載のない原産国。マスタの原産国欄が空欄の商品がある。この欄は、書くことが決まっていないからAだ、とはならない。正解は存在していて、台帳に転記されていないだけである。分類はCのままで、正しい手当ては「AIに書かせる」でも「空欄で公開する」でもなく、仕入先に確認してマスタを直すことになる。ここを間違えると、AIが最も自然な形で嘘を書く欄になる。空欄はAではない、と覚えておくと事故が1つ減る。
3つに共通するのは、判定しているのが「AIが書けるか」ではなく「確かめる相手がいるか」だという点である。AIの性能が上がっても、この線は動かない。
次に、Cの実装にあたる「生成させる」と「参照させる」の違いを手順で書く。ここが曖昧なままだと、分類だけして事故り続ける。
生成させる、とは「この商品の仕様を書いて」と頼むことである。AIは手元に正解を持っていないので、それらしい値を作る。参照させる、とは値を先に渡して、書き写させることである。たとえばこう渡す。
- 幅40cm/奥行30cm/高さ55cm、素材:ポリエステル100%、原産国:ベトナム、本体重量:2.3kg
- 上の4項目は一字も変えずに、表の形でそのまま出力すること
- ここに書かれていない仕様は書かないこと。不明な項目は「—」と置くこと
値を渡した瞬間に、AIの仕事は「考える」から「並べ替える」に変わる。捏造の余地が、注意力ではなく構造として消える。逆に、値を渡さずに「一般的な仕様も補って」と一言足すと、その瞬間にCがAに落ちる。プロンプトの巧拙の話ではない。渡したか、渡していないか、だけである。
「AIに調べさせればいいのでは」という代案は、Cの代替にならない。検索して拾ってくるのは他店の商品ページや、型番違いの別ロットの情報である。それが自社の在庫の値と一致している保証はないし、一致を確かめるには結局こちらの台帳を開くことになる。参照先が違うものは、精度が上がっても代わりにならない。工数の観点でも、拾わせてから照合するより、最初から渡したほうが短い。
最後に、この判定手順が新しい欄にも効くことを確認しておく。Amazonは公式の出品者向け告知で、商品名の下に表示される「商品のハイライト」という欄を案内している(2026年8月8日確認)。この欄は検索の対象になり、文字数の上限が示されている。台帳に正解はない。しかし外部の仕様に縛られる。したがってB——AIに候補を出させ、人が確定する。表を書き換える必要はなく、手順を1回まわすだけで分類が決まる。
A/B/C 別の、実際の回し方
分類したら、次は運用である。分類ごとに「何を渡し、何を確認するか」は違う。
Aの回し方:渡す情報を最小セットで固定する
Aは商品説明本文・FAQ・altなど、文体の問題に還元できる工程である。ここで決めておくのは、毎回渡す情報のセットを固定することだ。最小セットは4つでいい。
- 台帳の値(本文中で触れてよい仕様。触れてよい範囲を、ここで閉じる)
- 想定読者(誰が何のために買う商品か。1行でよい)
- トーンと長さ(である調か、ですます調か。何文字前後か)
- 禁止表現(自社で使わないと決めている語。数語でよい)
4つ目の禁止表現は、生成後に直すのではなく、生成前に渡す。生成後に直すやり方は、100商品に広げた瞬間に破綻する。人間が100回同じ修正をすることになるからだ。渡しておけば、少なくとも初稿の段階で減る。
出力を受け取ったあとの直し方にも線を引く。直してよいのは語順と長さまでである。「この数値、合ってたっけ」と思って調べ始めたら、それはAの作業ではない。Cの欄の値が本文に混ざっている合図なので、渡す情報の側を直す。手を動かす場所を、出力ではなく入力に戻すのがコツになる。
もうひとつ、機能の仕様そのものが事故になる場合がある。makeshopの公式マニュアルには、AI生成を実行したとき既存の説明文がある場合は上書きされること、生成結果は<br>タグが使われず<p>〜</p>で区切られることが明記されている(2026年8月8日確認)。前者は、手で作り込んだ既存ページで「生成」を押した瞬間に消えるということであり、後者は、既存の改行や余白を前提に組んだレイアウトが崩れるということである。押す前に既存HTMLをコピーして退避する、1商品目は必ずプレビューで見た目を確認する。この2つは、文章の品質とは無関係に必要な手順になる。
Bの回し方:候補を出させて、人が確定する
Bは商品名とキャッチコピーである。ここでの運用は単純で、1本書かせない。候補を複数出させる。5本でも10本でもいい。選ぶのは人がやる。観点は3つで足りる。
- 検索してほしい語が、頭のほうに来ているか
- 型番の表記が台帳と一致しているか(半角と全角、ハイフンの有無、スペースの位置)
- モールが禁止している語が入っていないか
3つ目が厄介である。Amazonの公式フォーラムでは、スタッフが「無料配送」「100%品質保証」といったプロモーションに該当する用語は商品名に含められないというガイドラインを引きつつ、同じスレッドですべての用語の判断はヘルプページでは網羅できていないとも回答している(2026年8月8日確認)。つまり、禁止語の完全な一覧は公開されていない。AIに「規約に沿った商品名を作って」と頼んでも、正解を判定する台帳が公開されていないので、AIも判定できない。ここがBを人の側に置く理由である。
規約は改定もされる。Amazonは公式の出品者向け告知で、商品名の上限をスペース込み75文字とし、2026年7月27日から要件を満たしていない出品情報について既存の商品名をもとにした推奨を開始したと案内している。商品名に入りきらない情報の受け皿として商品のハイライト(125文字)が用意され、要件を満たさない商品名は段階的にAIの推奨情報へ更新されること、ブランド所有者が事前に確認・修正・承認できるのは実施前の14日間であることも書かれている(同、2026年8月8日確認)。ここで起きているのは「AIに任せるかどうか」を店舗が選ぶ話ではない。放置すれば、プラットフォーム側のAIが商品名を書き換える側に回る。14日間の通知を誰が見ているのかは、社内で決めておいたほうがいい。
数値そのものは、この記事で覚えるものではない。同じAmazonでも、出品を学ぶ側の公開ページには告知と食い違う文字数が残っている。公式サイトの中ですら数値が一致していないのだから、実務では触る日に管理画面と最新の告知を開いて確認する、という運用にするしかない。
楽天市場とYahoo!ショッピングについては、さらに手前で止まる。商品名の文字数を定めた規約そのものが、一般公開されていない。複数の経路を辿って確認したかぎり(2026年8月8日時点)、これらは出店者向けの管理画面——楽天ならRMS、Yahoo!ショッピングならストアクリエイターPro——にログインしないと読めない場所に置かれている。解説記事には具体的な文字数が流通しているが、出典を公式まで辿れないので、この記事では数値を書かない。自店のアカウントで確認してほしい。
この「読めない」という状態が、実は商品名をBに置く一番強い理由である。正解は自社の台帳ではなく外部にあり、その外部仕様は出店者しか読めず、しかも改定される。AIは、公開されていない規約も、先月の改定も知らない。知らないものに沿った出力を、確定させることはできない。だから商品名は「AIが初稿、人が最終確定」以外の形にならない。
Cの回し方:生成AIを使わない、という設計
Cは、AIに渡さない工程である。やることは、台帳の値をページに流し込むことだけになる。
手順としては、まず表の形で渡す。項目名と値を1対1で並べ、値の側は編集しない。文章にする必要がある場合も、テンプレートを先に作って、変数の位置に値を差し込む。「幅{width}cm×奥行{depth}cm×高さ{height}cm」のような形にしておけば、AIを通す必要がない。
ここで気づいてほしいのは、Cの工程の多くは、そもそも生成AIの仕事ではないということである。CSVの列をテンプレートに差し込む処理は、置換で足りる。表計算ソフトの関数でも、スクリプトでも、ノーコードのツールでもいい。何で組むかの選び分けは、扱うSKU数と、更新の頻度と、社内に触れる人が何人いるかで変わるので、EC業務の自動化ツールをどう選び分けるかのほうにまとめてある。
Cを最初からAIの外に出しておくと、そのぶん公開前に確認する項目が減る。100商品を展開するとき、照合項目が3つの店と10個の店とでは、1件あたりの確認時間がそのまま数倍違ってくる。使わない範囲を決めておくのは手を抜くことではなく、確認の総量を先に削っておくことだ。
AIに渡したあとに残る仕事のほうが、たぶん難しい
ここまで、商品ページの工程をA・B・Cの3つに割ってきた。割ってみると、AIに渡せるのは「書く」側で、人に残るのは「決める」と「確かめる」側だと分かる。これは商品ページに限った話ではない。受注処理も、問い合わせ対応も、同じ基準で割れる。
割ってみて、自分の一日の大半が「渡せる側」に寄っていたなら、それは今の業務量の話ではなく、次に何を覚えるかの話になる。同じ3分割を業務全体に当てはめる手順は、EC実務者がAI時代に学ぶべきスキルは、業務を3つに分けると決まるに書いた。
商品画像はどこまでAIでよいか
画像も同じ手順で割れる。ただし画像には、商品マスタとは別に現物という台帳がある。そこが文章と違う。
画像まわりは、3つに分けると判定しやすい。
- 商品そのものを生成した画像 → C(生成させない)
- 撮影した写真の加工(明るさ、背景の処理、切り抜き) → B(人が確定する)
- alt・キャプションの文章 → A(AIに初稿を書かせる)
1つ目がCになる理由は、規約より手前にある。その商品には現物があり、届くのは現物のほうだからだ。生成画像は、実在する商品を撮ったものではないので、色も質感も縫製も、届く物とは別になる。ここがずれたときに何が起きるかは、返品理由の欄を見ればわかる。「イメージと違う」「写真より色が濃い」「思っていた素材感と違った」。返品送料と再検品が乗って、レビューが1つ減る。規約の話をする前に、まずここで割に合わない。
実務でずれやすいのは、たとえば次の2か所だ。色味と同梱物だ。カラーバリエーションのある商品で、1色だけ撮って残りを色替えで作ると、実物の染めの深さが再現できない。セット商品の画像に、実際には付属しないケースや電池が写り込むのも同じ事故で、これは問い合わせではなく返品として返ってくる。どちらも「画像が現物と一致しているか」を人が見れば防げる種類の話である。
もっとも、色味のずれは生成したかどうかとは別に、撮り方でも起きる。同じ商品を同じカメラで撮っても、蛍光灯の下と窓際では染めの深さが違って写る。ここを機材で潰すなら順番があって、先に光を固定し、次に基準を持つ。光の固定は簡易な撮影ボックスとリングライト(実売で数千円〜1万円台)、基準は反射率18%のグレーカードが1枚あれば足りる。撮影後にホワイトバランスを数値で合わせられるので、「なんとなく明るくした」が減る。前段で書いた「撮影担当と検品担当が同じ現物を見て線を引く」は、光が毎回違うと成立しない。
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2つ目の加工がBなのは、どこまでの加工が許されるかが自社の判断だけで決まらないからだ。出品先ごとに画像の扱いに関する取り決めがあり、内容は改定される。公開時点の規定を、自店の管理画面で確認するのが前提になる。そのうえで社内の線を引くなら、判断の軸は1つでいい。「見やすくする加工」なのか、「実物と違って見える加工」なのか。白背景に整えるのは前者、色を鮮やかに寄せるのは後者に転びやすい。この線引きは、撮影担当と検品担当が同じ商品を見て決めるのが早い。
3つ目のalt・キャプションがAなのは、これが文章の工程だからである。ただし対象は画像なので、書かれた内容が写っている物と合っているかは人が見る。「背面のポケットが写っている」と書いてあるのに、その画像は正面だった、というずれは普通に起きる。なお、alt文の自動生成が公式機能として用意されているかどうかについては、今回、確認できる一次情報が取れなかった。使えるかどうかは自店の環境で確かめてほしい。altの書き方そのものには別途踏み込むべき論点があるので、ここでは分類までにとどめる。
まとめると、画像でも判定の問いは変わらない。それは、現物と並べたら真偽が決まるものか。決まるなら生成させない。決まらないなら文章として扱ってよい。
事故の型は4つ。公開前に突き合わせるものを決めておく
公開前チェックを「全文を読み直す」と定義している店舗は、100商品で必ず破綻する。読める文章として書かれている以上、通して読んでも違和感が出ないからだ。やるべきことは読み直しではなく、照合する項目を先に決めておくことである。
照合先を決めるために、事故を型で分けておく。実務で見る形は4つに収まる。
型1:仕様値の捏造。サイズ、素材、混率、容量、重量、原産国、成分、型番、同梱物。渡していない値が、渡した値と同じ調子で埋まる形である。検出は簡単で、照合する項目をあらかじめリストにしておき、商品マスタと1対1で突き合わせる。読むのではなく、見比べる。項目は8つ以内に絞ったほうがいい。1件3分で終わらない形にすると、100件目でチェック自体をやめることになる。やめるくらいなら項目を減らして続けるほうが、事故は減る。
型2:別の商品の値の混入。同じやりとりの中で複数商品を扱ったり、参考として他の型番の情報を渡したりすると、値が隣の商品に移ることが仕組みのうえでは起こりうる。どのくらいの頻度で起きるかを測ったデータは当サイトにはないので、頻度の話はしない。ただし検出の手順は決められる。これは目視ではなく表計算でやる工程である。生成結果をSKU単位で1行1セルに落としてCSVにし、隣に商品マスタの型番・サイズの列を並べる。そのうえで、全商品の型番リストに対してワイルドカード付きのCOUNTIFを回す。このときその行自身の型番の分は必ず引く——引かないと全行が1になり、絞り込みが機能しない。残った数が、生成文に混ざった自分以外の型番の数である。1以上が立った行だけを開けばよく、100行でも数分で終わる。テキストエディタの検索で拾いにいくやり方は、数十件を超えたところで人が保たない。
型3:古い販売条件の残り。送料の条件、キャンペーン、ポイント、入荷時期。これは捏造ではなく、過去のどこかに実在した文言が生き残る形で出る。手当ては検出より予防が効く。販売条件の文言はテンプレート側に持たせ、AIに書かせない。書かせない代わりに、テンプレートを1か所直せば全商品が直る形にしておく。それでも混ざるので、公開前に「本日」「今なら」「期間限定」「入荷予定」といった時限性のある語を検索する手順を入れておく。
型4:根拠のない断定・誇張。これだけは、他の3つと判定の軸が違う。型1から型3までは商品マスタや現物と突き合わせれば白黒がつく。型4は、突き合わせても決まらない。表現として許されるかどうかには法令上の線があり、事実として正しいかどうかとは別の判断が要る。運用としては、型1から型3と同じ扱いにしないことが重要になる。具体的には、自社で使わないと決めた語——たとえば「最高級」「必ず」のような断定に寄る語——を生成前に渡す。生成後にフィルタしようとすると、担当者の判断に依存して揺れる。この論点は本記事の範囲を超えるので、別途詳しく扱う。
運用面でもう1つ。理想は「書いた人以外が確認する」だが、担当が1人の店舗では成立しない。代わりになるのは、生成結果とマスタの値を、同じ画面に並べることである。CSVに生成文の列とマスタの列を隣り合わせで出して、目線を横に動かすだけで比べられる形にする。人を増やせないなら、比べる距離を縮めるしかない。
型ができるまで量産しない:まず3工程・1商品から
ここまでの分類と手順は、1商品で試せる。むしろ1商品でしか作れない。
最初に渡す工程は3つに絞る。商品説明本文の初稿、FAQ、画像のalt。3つともAだからである。この3つで間違えても、壊れるのは文章の質であって、事実ではない。事実が壊れない場所で型を作ってから、BとCの扱いに広げる。逆にスペック表から始めると、初日に一番危ない工程を触ることになる。
広げ方は3段階でいい。大事なのは各段階の「次に進む条件」を先に決めておくことだ。
段階1:1商品で型を作る。同じ入力で2回生成してみて、直したくなる箇所が語順と長さだけになったら次へ進む。事実を直しているうちは、型ができていない。入力に渡す情報が足りていないだけなので、出力ではなく最小セットの側を直す。ここで作るのは文章ではなく、毎回同じものを渡すための雛形である。
段階2:10商品で崩れ方を見る。1商品ではわからないのは、ばらつきの出方だ。見るのは3か所——トーン、長さ、見出しの有無。そして照合で引っかかる項目が、10件でどう散るかを見る。引っかかる項目が同じ種類に収束したら次へ進む。毎回違う項目で引っかかるなら、型がまだ無い。収束していれば、その項目を照合リストの先頭に固定すればよく、確認は速くなる。
段階3:カテゴリ単位で広げる。条件は、照合項目リストが固定できていることと、Cの流し込みがテンプレート化できていること。この2つが揃っていない状態で広げると、直しも同じ数だけ量産される。
工数については、数値の話をする前に順番の話をしたい。実感として痛いのは、生成の待ち時間より確認のほうだ。生成は席を立っていても進むが、確認は人が張り付く。参考として、あるカートの公式マニュアルには生成が「1分以内」と書かれている。これは上限の表記なので、1件1分を最悪値として置くと、300商品の生成待ちは最大でも5時間、という計算になる(公式表記からの単純計算であり、実測ではない)。ただし実務で効いてくるのは、この5時間ではなく、確認時間×SKU数のほうである。1件の確認を3分から2分にできれば、300件で5時間が浮く。照合項目を8つ以内に絞れ、と書いたのはこの計算のためである。
もう1つ、量産の前に知っておくべき事実がある。公開情報の範囲で確認したかぎり、各社の公式AI機能は、商品編集画面から1件ずつ生成する設計である。一括生成のUIを標準機能として確認できたプラットフォームは、今回は無かった。だからSKUが増えると、話は必ずCSV一括編集や外部処理の側へ移る。何で組むかの選び分けについては、この記事のCの回し方のところで触れた自動化ツールの記事のほうで扱っているので、そちらを見てほしい。
型を作るのに使う時間は、1商品ぶんの手間で済む。型が無いまま100商品に広げると、直す作業も100商品ぶんになる。順番を逆にしないこと。今日やるなら、1商品の商品説明本文だけでいい。
よくある質問
AIが書いた商品説明文は、そのまま公開してよいですか
照合していない項目が1つでも残っているなら、公開しません。逆に言えば、全文を読み直す必要はありません。台帳に正解がある項目——サイズ、素材、容量、原産国、型番、同梱物など——を先にリスト化して、そこだけをマスタと突き合わせます。文章の良し悪しは公開後にも直せますが、値の誤りは返品と低評価という形で先に返ってきます。
商品名もAIに作らせてよいですか
初稿は任せてよく、確定は人がします。商品名は文字数・使用可能文字・禁止語がモール側で決まっており、その規約は改定されるためです。AIは改定を知りませんし、そもそも出店者しか読めない規約は学習のしようがありません。候補を複数出させ、公開時点の規約を管理画面で確認したうえで選ぶ、という運用にしてください。
楽天やYahoo!ショッピングの商品名は、何文字まで書けますか
この記事では数値を書きません。2026年8月8日時点で複数の経路を確認しましたが、両モールとも商品名の文字数を定めた規約は一般公開されておらず、出店者向けの管理画面(楽天はRMS、Yahoo!ショッピングはストアクリエイターPro)にログインしないと読めないためです。解説記事に流通している数値はありますが、出典を公式まで辿れないものを実務の基準にはできません。自店のアカウントで確認してください。なお、Amazonは公式の出品者向け告知で商品名の上限を75文字(スペース込み)、商品のハイライトを125文字と案内しています(2026年8月8日確認。これも改定されるので、触る日に確認してください)。
商品マスタが空欄だらけなのですが、AIで埋めてもいいですか
埋めません。空欄は「決まっていない」ではなく「転記されていない」状態なので、正解はどこかに存在します。順番としては、マスタを直してからAIに渡します。ここを逆にすると、AIが最も自然な文体で嘘を書く欄になり、しかも公開後に自社の資料と食い違うので、あとから直す工数が二重にかかります。
他店と説明文が似てしまうのですが
差が出るのは文体ではなく、渡した情報です。同じ商品を同じように説明すれば、文章は似ます。似なくなるのは、自社にしかない情報を渡したときだけです。自社の検品基準、同梱物の構成、実際に使われている場面、問い合わせで実際に多い質問。これらは商品マスタの外にあり、社内にしかありません。プロンプトを凝るより、渡す材料を1つ増やすほうが効きます。
どこから始めればよいですか
SKU数では決まりません。「型ができているか」で決まります。まず1商品の商品説明本文だけをAIに渡し、直したくなる箇所が語順と長さだけになるまで、渡す情報のほうを調整します。そこまで来たら、同じ入力で10商品に広げて、崩れ方を見ます。カテゴリ単位に広げるのは、照合項目のリストが固定できてからで十分です。
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